月まで

愛は、ふたりで守り抜かなければいけないんです。 すべてを懸けてもいいと思えるほどの相手の人生と自分の人生が完璧なタイミングに導かれたことによって交わることが許されたのであれば、その交差点で出会い、その人を愛すると決めたのであれば、ただ誠実に…

死んでもいいわ

ほんとうに好きになった人がいました。 彼の苦しみも弱さも、わたしが持ちうるもの全てで全身全霊をかけて受け止めて、包み込んであげたい、守ってあげたいと心の底から思っていました。 この人と一緒にいたら幸せになれないと言われるのならば、一緒に不幸…

汝、愛に生きよ

尊敬する人に、愛とはなんですかと問いかけたら、その人のために死ねるということです と言われました。 たしかに。 ある日猫の親子が住む空き家で火事が起こったとき母猫が 消防士でさえ入るのをためらうほどの火の海の中に躊躇なく何度も足を踏み入れ 中に…

鏡よ鏡

原罪を犯した人間に待ち受けている罪は死だそうです。 その死とは体が物理的に朽ち果てることではなくて、虚無のことを指すんだそうで。 嗚呼、やっぱりね。 心にぽっかり穴が開いて、心を映す鏡である瞳は空洞のように何も籠らない漆黒に染まって。 愛のあ…

花はそれでも

わたしが欲しいのは愛か死よ 愛とはなんだろう わたしにとって愛を一言で表せと言われたらきっと、犠牲だと答えると思う。 わたしの心の奥底の方でなんとなく、愛と犠牲は怖いくらい密接している。 例えば何かの場面で生命の選別が行われなければならないと…

四季

誑かす ごんべん に くるう 狂ったことを言うことを誑かすというんですね 日本語って綺麗だよね わたしが一番好きなところは色を表す言葉がたくさんあるところです 群青色 とか 真紅 とか 青 と 赤 で片付けることもできるのに 色からくる印象は幼い頃から植…

紅を引け

初めて付き合った人は3つ上でした。 わたしが14歳の時でした。 見る目がなかった。これに尽きます。 生まれて初めて人を平手で殴りました。 殴った時、悪いことをしたのはわたしじゃないのにどうしてわたしまで痛い思いをしなければならないんだと、なんて理…

わたしのラブレターを盗み見たい人へ

安田さんについて。わたしは彼が大好きです。真っ直ぐだから。見ているこちら側がずきずきじくじくするくらい、喉と目の奥が熱くなって込み上げてくるものを抑えるのが苦しいくらい、真っ直ぐだからです。相当傷ついてきたんだろうな、と思います。大きな渦…

例えば君が傷ついて

強がるな、弱っちい癖に と言われました。いやはや、おかしくないですか?弱いから言葉で取り繕うことの何がそんなにいけないのかがわたしにはわかりません。言葉を操れる動物はこの地球上には人間だけです。人の子として生まれ、人の子として生きているのに…

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わたしは見栄っ張りです。 常に良いピンヒールを履いていたいし、バラの香水とイチジクのクリームを重ね付けしていたいし、髪をまいて真赤の紅を引いていたい。 足のつめはいつだって完璧な深い赤に整えていたいし、どこからみても隙のないまつ毛にしていた…

わたし

好きな男が死んだ。 もうひとりの好きな男は死にかけた。 大切な人はわたしの目の前で電車に飛び込んで死んだし、もうひとりの大切な人は愛する人の心が見えなくなって死のうとした。 わたしの底が浅すぎる心には収めきれることができない1年だった。正直、…