わたしのラブレターを盗み見たい人へ


安田さんについて。
わたしは彼が大好きです。


真っ直ぐだから。
見ているこちら側がずきずきじくじくするくらい、喉と目の奥が熱くなって込み上げてくるものを抑えるのが苦しいくらい、真っ直ぐだからです。

相当傷ついてきたんだろうな、と思います。
大きな渦に揉まれ、揉み扱かれ、生き残るために変にねじ曲がるのではなく、あえて真っ直ぐでいるという選択をした、のか、せざるを得なかった、のか。
彼が生きてきた34年間、誰か1人でも 彼が留まって羽を休めることができるような、雨で濡れて帰った日にふわふわのブランケットで体を拭いて包んでくれるような、寒い日に半分こして食べる肉まんのような、大きくて暖かい陽だまりのような存在が彼の近くにいてくれていることを祈るばかりです。

2018年は生きた心地がしませんでした。
好きな男が脳の腫瘍を摘出する手術を受け、背中を骨折し、座ることも立つこともままならない状態でライブのステージに立ったこと。わたしたちの前では強くあろうとしてくれていたこと。彼自身、自分の体の一部のような、彼が右心房だとしたら左心房のような存在を手放し見送り、普通なら血液の循環が滞ってしまうような状況のなか、追い討ちのように自分の体を次から次へと不幸が襲ったのにもかかわらず包み隠さず全てを話し、見せ、わたしたちを引っ張ってくれたこと。そして何より、このような形でわたしが愛する関ジャニ∞が世の中の注目を集めたこと。

悔しかった。
物理的な距離というものはこれほどまでに残酷なのかと鋭利な現実を突きつけられたことが、痛かった。
大して興味がない人間が発する薄っぺらい賛辞、憶測だけの上っ面の心無い言葉。気が狂いそうだった。


死を意識せざるを得ないほどの大病をした人たちのほとんどは、回復したらその時が来るまで一生懸命生きようと強く思うと言います。
だからこそ、彼の言葉は怖いくらい、受け止めるために筋トレをしなければならないくらい、真っ直ぐで翳りがなくて、強い。そのくせ、彼が紡ぐ指示代名詞が差している事柄がなんのことなのか、明示しないんです。
ずるいですよね。そんなところが、少しばかりへたっぴなのか、それさえもわたしたちに選択肢を与えるための計算なのか、ということさえわからないようなところが唸ってしまうくらい好きなので、もう抜け出せませんね。


口で虚を吐露すると書いて嘘と読むならば、それは最も安田さんに似つかわしくない言葉だと思います。10人に聞いたら10人がそう答えるでしょう。
ガチガチに固めた甲冑を着て自分を守ればいいのに。嘘でも良いから夢を見させて、いつか覚めてしまうから夢だということは百も承知だから、どうか甘い言葉で夢を見させて、とも思うのですが、彼はわたしたちを自分の腕の中に抱いて夢を見させてくれます。
ね、不器用でしょ?腕なんて二本しかないのに、どれだけ抱きしめようとするんだと、思うわけですよ。でもね、一度彼の体温を感じると、もうそこから出られないんです。出ようという気すら自然となくなるものなんです。
安田さんはアイドルだけど、偶像でいることがお仕事だけど、わたしたちは彼の生身の体を、温もりを、感じてしまった。幸運にも、と言い切れないのは、タチが悪い男に引っかかってしまったなと自覚しているからです。


他のオタクがどうなのかは知りませんが、安田さんのことが好きな人のほとんどははじめは違うメンバーが好きだったと思うんですよね。現にわたしもそうでした。
ただ彼は砂地獄のような人間なので。一見ただの砂ですが、一歩足を踏み込んでしまうとそれが最後。ご臨終。ようこそ、安田さんの沼へ。
裏を返すと、普通の人に彼の魅力をどれだけ熱く語ってもおそらく取り合ってもらえません。なんたる無念。自分が好きな人の良さが友達に伝わらないときの虚無感ったらないんですよ。まあ、わたしは彼の良さを知ることができた幸運な人間なのでそんなことへっちゃらなんですけどね。


分厚くて、胸焼けがするくらい脂が乗っていて、なのに色んな味がするから飽きることが許されない。手が届く範囲にいる男なんてみんな大した栄養素がないこんにゃくみたいに見えてしまうんですよ。こればかりはもう仕方がない。あんな人間が存在することがほぼ罪です。助けてくれよ。


良い男を好きになった。見る目があったな、と思います。
生まれ変わったら安田さんの笑顔を少しでも増やすためにあなたが大好きなお餅になりたいです。ぜひ素焼きで砂糖醤油につけてお召し上がりください。今日も暖かいお布団で快眠できますように。今すぐちょうど良い大きさの島とふわふわのブランケットをお送りしたいばかりです。

例えば君が傷ついて

強がるな、弱っちい癖に 

と言われました。

いやはや、おかしくないですか?


弱いから言葉で取り繕うことの何がそんなにいけないのかがわたしにはわかりません。
言葉を操れる動物はこの地球上には人間だけです。人の子として生まれ、人の子として生きているのにもかかわらずなぜわたしたちだけが持ちうるものを最大限に生かしてはいけないのか、わかりません。

わたしが短命でない限り親はわたしよりも先に死にます。世の道理です。
未成年だから、あなたはわたしたちの子供だから、という理由で親に守られている世界で生きているのにその安全圏からいきなり放り出されるとき、生まれたままのあられもない姿で路頭に迷うのと、どんな形であれ自分で自分を守る術を身につけているのとではどちらが強くたくましい人間だといえるのでしょうか。どちらの人間が傷つかずに、傷つけずに生きていけるのでしょうか。答えは明白だと思い込んでいましたが、違うのでしょうか。その術である武器を習得するのは早い時期であればあるほど、そしてその武器は多ければ多いほど良いと思っていましたが、違うのでしょうか。
可愛げがないことも、屁理屈ばかりこねて小賢しいことも、自分が一番分かっています。ですが、18年間でわたしはこういう人間として出来上がりました。わたしを煮るなり焼くなりして手を加え、味付けをしたのは紛れもなくあなたたちです。
知恵も財力もない未熟なわたしですが、学校に通わせ、ご飯と洋服と家を提供し、大きな愛で包み込むのが親の務めだと思ってきました。というか、わたしならそういう親になります。将来その時が来たら、子供がお金の心配をしなくて済むような家庭を築き、本人を含め誰のことも理不尽に傷つけることがない思慮深く凛とした少しばかり強引でも周りをうまく巻き込めるような子供を、育てるつもりです。
間違っても、自分好みの味に仕上がらなかったからと言って食べ残したりするような真似はしません。そんなこと、絶対にできない。どんな味でも、食感でも、絶品ですねといただきます。これが親であるということではないのですか。

生んでくれなんて頼んでない、とわたしは親に言います。まっすぐ目を見ながら。喧嘩を売るときは相手の目を見て売るのがモットーなので。親からしたらたまったもんじゃないだろうなと思います。丹念込めて下ごしらえをした娘がいきなり食べられたくないと暴れだすのですから、そりゃあ腹も立つし不安にもなるでしょうね。ただね、その不安や焦りを当事者に投げ返さないで下さいよ。堂々としていて。動じないでとは言わないからせめて子供の前ではかっこつけていてよ。

わたしはあなた方が思っている以上に味がしみ込んで深みがある味わいに仕上がってきていると思います。なのであとは焦げ目がつくのをお待ちください。
きつね色になるか丸焦げになるかは、あなた方の塩梅次第です。


1

わたしは見栄っ張りです。

 

常に良いピンヒールを履いていたいし、バラの香水とイチジクのクリームを重ね付けしていたいし、髪をまいて真赤の紅を引いていたい。

足のつめはいつだって完璧な深い赤に整えていたいし、どこからみても隙のないまつ毛にしていたい。

 

そう、隙、がない。

 

男の人が何かを「奮発して買った」というのが嫌いだ。見栄を張っていてよ、さも簡単に手に入れたかのように繕っていてよ、と思ってしまうから。

 

わたしのソウルナンバーは1です。

これが全てかな、と思います。

 

 

わたしはわたしを愛しています。

不完全で、あまりにも汚いから。

 

 

 

わたし

好きな男が死んだ。

 

もうひとりの好きな男は死にかけた。

 

大切な人はわたしの目の前で電車に飛び込んで死んだし、もうひとりの大切な人は愛する人の心が見えなくなって死のうとした。

 

わたしの底が浅すぎる心には収めきれることができない1年だった。正直、もう容量が残っていない。

生とか死とか、男とか女とか、恋とか愛とか、勉強とか受験とか、もうなんだっていい。どうなったっていいよ。投げやりとかそういうのじゃなくて、人間死ぬときは死ぬ。愛されてるとか愛されてないとか、必要とされているとかされていないとか、本当に関係ない。案外簡単に、本当に簡単にあっけなく死ぬ。だから今を大切に生きようと思うのであれば、好きだと愛しているんだという気持ちは目で口で体で、あなたが持ちうるすべてで伝えようね。

目は口ほどに物を言うよ。小っ恥ずかしいなら見つめればいいのに、自分の気持ちを伝えられないことの方がよっぽど恥ずかしいと思うけどな。

わたしにとって何が一番大切で、何を一番大切にしなければいけなくて、絶対に見失ってはいけないのか。かろうじてそれだけは見えるようになった。これだけの思いをして何一つ収穫がなかったら自分で自分の舌をかみ切って絶命しているところだった。

 

あの人は自分の心のうちを言葉に落とし込めることが好きじゃないらしい。確かに彼らしい、わたしにはわからないけど。

自分で作った宝石を自分の中だけに閉じ込めて自分だけが見つめていたいんだって。他の誰かに見られたらその宝石は輝きを失ってしまうと思っているから。

目標も夢も言葉にしない、自分だけが知っていればいい。それを実現できたときにはじめて言葉にするし全部話したらおもしろくないからって8割しか教えない。

本当はまだ世界はキラキラしていると信じたいくせに自分はもう汚れてしまったからって自嘲するよね。ああなんて不器用で人間臭くて色っぽいんだろう。不完全で未完成のものはやっぱりどうしたって愛しくて困っちゃうね。

 

あなたならi love youをどう訳しますか。月光に照らされた女の子は日光の下よりも何倍も艶っぽいから夏目漱石はあの訳にたどり着いたのかな。